◆緊急報告
7/30 区が開催した『放射線に関するシンポジウム』。
今後の杉並区の方向を理解するのにとても大切な会であったこと、
多数の方が定員の制限で入れなかったことをふまえ、会の記録を共有します。
※追記情報がありましたら、こちらから投稿ください。
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放射線に関するシンポジウム~放射線を正しく理解するために~ 記録
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■日時: 2011年7月30日(土)14時〜16時
■場所: 杉並区立産業商工会館 講堂3階 (160名先着)
→定員となり入れなかった方は50名ほどらしい。
■説明者:加藤 和明 (NPO放射線安全フォーラム理事長)
津金 昌一郎(国立がんセンターがん予防・検診予防センター予防研究部長)
井口 順司 (杉並区 危機管理室長)
■司会: 深澤 啓治 (杉並保健所長) ※敬称略
■流れ: (1) 上記の三方が順にプロジェクター投影資料(配布もされた)を使用
(2) 5分間の休憩中に、各位質問を指定用紙に記入し、提出
(3) 上記三方が、
答 え る 質 問 を 選 び、回 答 → 20分ほど
>>>>> 全体を通しての所感
+杉並区がアサインした加藤和明氏の放射線に対する見解が分かるよい機会でした。
− ・杉並区が今後発信する放射線関連の情報が、区民の「不安をさげる」ための
ものとなっていく可能性を危惧しました。(根拠や詳しい説明なく)
また、もし区が今後学習会を開催することがあっても
「放射線はこわくない」と思わせることを目的としうることに怖さを感じました。
・質問を記入する十分な時間もなく、質問のフィルターがけが
ある形式に大きな疑問を感じました。
シンポジウムに関するみなさまの発言まとめはこちらから
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【加藤氏パート】
▼7/31追加:加藤氏の見解が分かる資料リンクを教えていただきました。
http://www.iaea.org/inis/collection/NCLCollectionStore/_Public/31/017/31017725.pdf
>所感:放射線の詳細解説も身体へのリスクの解説もなく、過去のデータに基づく
論理的な解説もなし。自然にも放射線あるし、ストレスに感じるのも身体に悪いと。
最後に、「放射線の捉え方はその人の人生の価値観」と言い切り、驚きました。
まったく放射線について、詳細を学習できませんでした。
放射線を正しく理解するための会ではなく、「心配しすぎるな」という
メッセージにしか思えません。下記記録を書き留めつつ、苦笑と涙が出てくる。
●印象的な発言:
「放射線は前は怖かったが、今は怖くない。勉強をした。
『知識』と『考え方』が必要で、どういう立場でモノを見るかによる」
>記録: ↓ 説明の流れ順に、所感抜きに記録を書きとめています。
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▼放射線とは
・資料「私たちは毎日のくらしの中で常に放射線を受けています」
・資料 冒頭はくらしの中の放射線について(自然・医療)
●発言「自然放射線だから無害で、人口放射線だから有害ということではない」
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▼被ばくについて
●発言「身体にとりこんだもの(放射性物質を)は、毎日食べなければ減っていく」
<< 身体にとりこんだものが身体に与える影響については、一切触れず >>
・資料「放射線被曝:
- "人間がその身体に放射線をうけること" or
"放射線の場に身体を曝すこと"をいう
- 放射線に被曝すると被曝の形態や量の違いに応じて健康に係る
様々の影響を受ける
- 放射線の種類や性質が同じであれば、影響は同じであり、
それは放射線源の違いに依らない 」
<< どんな核種がどんな影響を身体に及ぼすかは、一切触れず >>
↓ 8/6 追加(情報交換掲示板への投稿)
・資料「被曝の分類」
◇管理下にない・管理から外れた放射線源による被曝
●発言「何か起こった場合には…元々そういう想定がない」
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▼放射線防護について
・資料「放射線防護の対策:
- "放射線"の使用を規制するのではなく、"特定の放射線源"の使用
の放射線源"の使用を規制することにより国民を放射線の外から守る
- 一般人については 空間線量(率)等の実測に基づく"環境保全"により
安全を担保 」
●発言「放射線防護のための管理基準が一般人に1mSv/yは 平 和 な と き の目標」
↓ 8/6 追加(情報交換掲示板への投稿)
・資料「現行の放射線防護のシステム」
・着目する影響ーDNA損傷と突然変異と染色体異常の間の量的関係の“真実”
→実際上は“閾値”存在するといってもよい。
●発言「DNAの傷は実際上は修復する。100ミリ超えなければ影響ない」
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▼放射線との付き合い方
・資料「放射線と付き合いなしには生きられない!適切に怖がることが肝心
放射線は無数にあるリスク要因の一つに過ぎない!
ス ト レ ス は 強 力 な "リ ス ク 要 因"
適度のストレスは必要であるが 過 ぎ る と "猛 毒" 」
●発言「放射線を受けないことに熱心で、ストレスフルになるのはいけない」
・資料「人は必ずいつか氏を迎える。
老衰→死:"加 齢" も リ ス ク 要 因」
●発言「放 射 線 の 捉 え 方 は、人 生 の 価 値 観」
・資料「リスク源:リスクは危険の可能性であって危険そのものではない!」
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▼最後に精神論
・資料「運命と宿命:
"人間の力でどうにもならない定め"を「宿命」といい、
"どうにかなる定め"を「運命」という 瀬戸内寂聴
今この国に生きていること = 【宿命】
どのような人生をおくるか = 【運命】 江原啓之
・資料「(締めの一言)過ぎたるは猶及ばざるが如し」
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【津金氏パート】
>所感:前半主に、広島・長崎の原爆被ばく者への影響に関するデータ解説で
ピンと来ませんでした。今回は広島の29.6個分燃料が漏出した
という教授もいる中、広島との比較って。。。
チェルノブイリについて触れる際も、
「現時点で死亡率の増加は確認されていない」と。
悲劇的な事実や数値はなく、安心材料を話してように感じます。
後半はがんを引き起こす数々のリスク紹介。(喫煙、生活習慣、酒etc)
放射線に特化したお話を聞きたかっただけに、とても残念でした。
●印象的な発言:
「バランスが大切。放射線を心配して、家に閉じこもって運動不足になったり、
野菜を食べなかったりすると、それもがんのリスクとなる」
>記録: ↓ 説明の流れ順に、所感抜きに記録を書きとめています。
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▼広島・長崎原発被ばく者の研究(放射線影響研究所)
・資料「30歳で1シーベルトの放射線に被曝した場合、男女平均して70歳で
固形がん(白血病以外の普通の意味でのがん全体)により死亡する頻度が
約1.5倍に増加する」
・資料「30歳で約100ミリシーベルト被曝した場合、がんで死亡する生涯リスク
は、放射線被曝がない場合の生涯リスク20%に対して、男女平均して
約1%多くなると考えられる」
・資料「慢性被曝の場合には、放射線の総量は同じでも急性被曝の場合より
影響が少ない(1/2あるいは1/1.5)とする考えがある」
・資料「これまでの研究では、被曝者の子どもへの遺伝子的影響は
認められていません」
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▼チェルノブイリ
・資料「6000の甲状腺がん(汚染されたミルクによる)」
・発言「(甲状腺がんではない)ほかのガンについては分かっていない」
・資料「1平方メートルあたりに37000ベクレル以上のCs-137に汚染された
地域住民(520万人)がm1986年から2005年までの間に被ばくした
蓄積実効線量の平均値は、10mSvから20mSv。この被ばく量平均値は、
インド、ブラジル、中国などの 自 然 放 射 線 が 高 い
地 域 で の 被 曝 量 よ り 低 い。」
↓ 8/6 追加(情報交換掲示板への投稿)
●発言「チェルノブイリは10年以上経たないと分からない。」
※もう25年も経っていますが。
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▼がんのリスク
・資料 がんの因子紹介(カドミウム〜ダイオキシン、喫煙や生活習慣)
●発言「(放射線のリスクは) 他のリスクを考えると複雑な問題」
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▼食品について
・資料「放射性ヨウ素について甲状腺等価線量としては50mSv/年
(実効線量としては2mSvに相当)は相当な安全を見込んだもの」
●発言「ここなでなら安全とは決められない」
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【井口氏パート】
>所感:杉並区が実施している放射線測定の結果をもとに
「いずれも健康への影響は心配ないレベルでした」と繰り返していました。
給食について、各学校長や保育園長に「必要な対応をとるように」
働きかけると言っていましたが、具体策は語られず、残念でした。
●印象的な発言:
「給食については、食材の安全がとれている」
>記録: ↓ 説明の流れ順に、所感抜きに記録を書きとめています。
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▼杉並区における放射線への対応
●発言「給食について、教育委員会が各学校長へ必要な対応をとるように言う」
<<「必要な対応」に関する具体的な説明は無し >>
●発言「砂場は入れ替えの予定をしていない」
●発言「道路の側溝の測定も今後は予定している」
●発言「協同乳業(メイトー)については、検査機器が届く2学期(9月)から
検査開始予定と回答あり、その他保育園等で配膳されているメーカーに
ついては引き続き要請中」
↓ 8/6 追加(情報交換掲示板への投稿)
●発言「弁当の持参について、区としては給食も教育の一環と考えているので、
認められない。ただ保護者に不安があるので、実際の対応は各学校に
任せることにする。」
●発言「食材については、市場に流通している食材は安全なものと認識している。」
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↓ 8/6 追加(情報交換掲示板への投稿)
【質疑応答】
5分与えられて、紙に記載し提出。各パネリストが質問を選んで回答。
▼加藤氏の応答
・セシウムは水に溶けやすいから、海にも溶けた。
・知識があれば良いわけでもない。あり過ぎてもダメ。
・今はインターネットとかもあるし、自分で勉強して下さい。
・たとえ原発を止めても放射線との付き合いは続く。
・質問:年齢別、年代別の放射線の健康への影響は?(資料は30歳で記述)
→細胞の再生産期はリスクが高いと言われているが…発音、説明ともに不明確で結局意味不明。
▼津金氏の応答
・質問:基準値一生涯で100msvについては?
→今年は5msvとか暫定的な基準値。これはかなり厳しい基準だと思っている。
・福島のことはまだ分からない。だから,広島や長崎、チェルノブイリのデータで話をしている。
・放射線被曝についてはガン以外の病気の心配は不要。
・放射線以外の他の健康を損なう要因は心配のし過ぎ、色々な食品などにお金がかかる、そして楽しみが減る…
▼井口氏の応答
・今後は区の広報やHPにて進捗状況は知らせる。
・高井戸の清掃工場近辺、敷地内の測定値は基準値以下。高くても0.15。
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